2014年1月31日金曜日

第55 号 (2014.01.31 .) あとがき

北川美美

旧暦のお正月、春節。2014年は本日1月31日(金) が春節にあたるそうです。歳旦帖第四でお祝い気分です。小津夜景さんも旧正月に合わせた作品が届きました。竹岡一郎さんの作品連載も3作目となり快調です。 作品群が今号も充実となりました。また時評では外山一機さんよりご寄稿いただきました。

横濱中華街、神戸南金街では、春節のイベントが多数行われています。街が赤一色になる姿は迫力がありますね。



当ブログ【戦後俳句を読む】で赤尾兜子論をご寄稿いただいている仲寒蝉さんが第二句集『巨石文明』を上梓されました。仲さんは長野県佐久市在住で角川俳句賞受賞者でいらっしゃいます。渾身の第二句集です。





西村麒麟「鶉」について、すでに大井恒行氏のリンクブログに記事が上がっています。当ブログでも次号より鑑賞特集がはじまります。乞うご期待ください。

http://ooikomon.blogspot.jp/2014/01/blog-post_29.html


明日から2月。寒さが戻っているようですが、どうぞお元気にお過ごしください。

筑紫磐井

○俳人協会賞の25日(土)に決定され発表された。「BLOG俳句空間」から見ても関心の高い<評論>に関して見ると、今年は例年になく対象評論集が多く、11編(昨年は8編)のうちから評論賞1編(昨年は2編)、評論新人賞1編(昨年はなし)となった。新人賞は不定時に授与され、最近は決定がない状態が続いたが今年は久しぶりに授与されることとなった。句集の方の新人賞は50歳未満となっているようだが、評論集の方は句集よりまとめるにあたってもっと高齢化してしまうこともあって、50代の執筆者であっても新人扱いすることとなった。

評論賞:仲村青彦著『輝ける挑戦者たち・俳句表現考序説』(ウエップ刊)

仲村青彦は昭和19年生まれ、「朝」 同人で、句集に『予感』『樹と吾とあひだ』『春驟雨』があり、平成5年に 『予感』で第17回俳人協会新人賞受賞を受賞した。

『輝ける挑戦者たち』は、師の岡本眸と関係の深い富安風生から高浜虚子、正岡子規までの作家の表現の特質を分析したもので、一人の作家に1つから3つ程度の視点を設定して分析しているが、それぞれの洞察は鋭い。問題設定型の探求であるため分かりやすく、個別の作家論は近年にない高い水準である。草田男、久女、碧梧桐など、師系とも思えない作家も混じるが、あまり気にはならない。惜しむらくはこれらを総合して「俳句とは何か」の1編があって欲しかった。しかし、俳人協会評論賞に恥ずかしくない評論集である。

評論新人賞:長嶺千晶著『今も沖には未来あり・『長子』の世界』( 本阿弥書店刊)

長嶺千晶は昭和34年生まれ、中村草田男没後の「萬緑」入会後、山下知津子代表「麟」、岩淵喜代子代表「ににん」を経て、現在夏石番矢発行「吟遊」同人、さらに同人誌「晶」を創刊し代表。句集『晶』『夏館』『つめた貝』『白い崖』がある。俳人協会会員、現代俳句協会会員、世界俳句協会会員。平成23年吟遊俳句賞受賞。

草田男の第一句集『長子』の作品の初出を丹念にしらべ、句集における草田男のモチーフを分析している。句集に倣い四季部立て別に分析しているが、草田男の年代記風にまとめれば著者の想定する結論にもっと直結したかもしれないのが惜しまれる。

今年はこのほかにも面白い評論集が多く、倉橋みどり著『北を見る人・橋本多佳子論』、谷村鯛夢著『胸に突き刺さる恋の句・女性俳人百年の愛とその軌跡』等が読ませる内容をもっていた。倉橋はかって月刊「ヘップバーン」の編集長、谷村もジャーナリストで、俳句と女性雑誌、ジャーナリズムの新しい発見などをさせてくれるなど今では当たり前となっている俳句と女性の関係が新鮮である。  




 

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