【小津夜景作品 No.4】 脱法バンケット 小津夜景

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　　　脱法バンケット　　　小津夜景

エロスは、我々人間を突き動かす最大福祉の源泉である。

プラトン『響宴』

もてなしの夜に腸(わた)のない冬けもの

わが撫づるフォークの銀のさむさかな

終末論たかだか鴨を割くのみに

冬うぐいすの俗事を愛すサロンなり

遠火事や日々はシャンパンないし泡

食いはてて歪曲的(アナモルフィク)な冬の燭

おろそかに青女溶けかけたるごとし

花室に蒔きしが肉片となりぬ

冬ざれに去れさにずらう恐妻家

こなゆきや天罰無尽に落ちてくる





【略歴】

• 小津夜景（おづ・やけい）

　　　　　1973生れ。無所属。