2013年10月4日金曜日

平成二十五年 秋興帖 第五

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      清水青風
碧空に山次々と湧く初秋
妻の手に土瓶とアキノキリン草
長き夜や遺句集といふおもきもの

      木村修(「玄鳥」)
月今宵駱駝の水が溢れ出す
船長室のタロットカード今日の月
臍の緒のこんがらがっていて無月


      羽村 美和子(「豈」「WA」「連衆」同人 近著『堕天使の羽』)
十六夜の影歩き出す宇治拾遺
これよりは核の灯りと月夜茸
酔芙蓉いつも核心はぐらかし

      茅根知子(「絵空」同人)
秋霖のどこかが管でつながりぬ
銀色の梯子に秋の蝶が来る
近くまで来たのと言うて夜長かな

      堀本裕樹
蝶々のまはりをあそぶ素風かな
あの鹿毛の踏みたる木の実かとおもふ
秋草に風ジーンズの元女優

      網野月を(「水明」「面」「鳥羽谷」所属・「Haiquology」代表。)
歪なものに中心があるヴェネティアの秋
秋の海愛する権利は平等に
秋も海その移ろいは見事なり
泥棒になったことなし恋も柿も

      山田耕司(「円錐」同人)
双眸のそれらの球の海の秋
涙より重たき零余子ではあるが
生前の掌を皿にして零余子めし


      小久保佳世子(「街」同人)
夜長のビデオ再生するたびビル崩壊
人だったかしら月夜の交差点
地震竜巻台風五輪注意報

      太田うさぎ
腰痛の日や鶺鴒の石移り
ゑのころの大きく吹かれ鳥辺山
下駄脱げば忽ち雨や断腸花

      近恵
十六夜の奥歯でかみつぶす薬
秋の虹見上げる為の無人駅
草虱草虱自堕落な一日

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