2013年7月19日金曜日

第29号 (2013.07.19.) あとがき

北川美美

○夏興帖が開始となりました。そして二十四節気題詠句には本井英さんの24句。作品に太田うさぎさん、林雅樹さんと今号も作品群が豪華に揃いました。そして、高いアクセスを誇る【俳句時評】に湊圭史さんの新着があります。 今号も充実のラインナップ! 御寄稿いただきました皆様に御礼申し上げます。

○当サイトの骨格である「戦後俳句を読む」のカテゴリーが作品群に押されつつありますが、こちらも地道に続けて参ります。

○本日、澤好摩さんより新句集『光源』を恵贈受けました。澤さんは、1968年に坪内稔典、攝津幸彦らと同人誌『日時計』を創刊以来、「天敵」「俳句評論」「俳句研究」「未定」「俳句空間」と多くの俳句誌に関わり、現在同人誌「円錐」編集発行人でいらっしゃいます。

私は生活上の転変に必要以上に惑わされることもなく、何事も俳句のことを考え、俳句を書くことに集中することで克服できたような思いがある。-あとがき‐

沖に起つ濤のひとつは嘶くも 
黒南風に遠き煙火(はなび)の音まじる 
春闌けてピアノの前に椅子がない 
集まつてみな棒立ちや青嵐 
波のなき海図はさみし幸彦忌


俳句への思いが一句一句に響く全224句の句集です。


○時間というものは誰にも公平に刻まれているものですが、ここにきてぐっと早く感じられるようになりました。「詩客」創刊からの時間経過でいうと、現在2年3か月、「‐blog俳句空間‐戦後俳句を読む」のスタートからもすでに7か月が経過しようとしています。筑紫相談役の観測どおり(まさにその通りなのですが)大よそのサイトの寿命がだいたい2年と決まっているのであれば、このサイトもあと1年半!ということになります。そう考えると俳句サイトの老舗である「週刊俳句」「増殖する歳時記」はまさにオバケ的なご長寿サイトということになりますね。自分自身が「詩客」そして「戦後俳句を読む」に携り何を感じ得たかといえば、ますます「俳句とは何」かという問いが強くなっていることを実感するばかりです。


筑紫磐井

○恒例の「夏興帖」が始まった。歳旦帖・春興帖・花鳥篇につづく4回目であり、今回もたくさんの参加が見込まれるところから楽しみにしている。

○また今回は、こもろ日盛り俳句祭関係の記事がいくつか載った。本井英さんの満を持しての24節気題詠俳句と、こもろ日盛り俳句祭Q&Aである。昨年この日盛り俳句祭シンポジウムの場で、日本気象協会が24節気の見直しを撤回するというハプニングのあった場であり、本井さんはその立役者でもある。今回もいろいろな企画が予定されているはずだ。

○先週は、「―俳句空間―豈」で行っている攝津幸彦記念賞(第2回)の募集作品の選考委員会があり、池田澄子、大井恒行、高山れおなと会ってきた。なかなか楽しい選考経緯と、その結果であった。7年ぶりの募集は当時と比べて顔ぶれも大きく変わってきたように思われる。

○ふらんす堂から『猫帖』という本が出た。山岡さんからわが家の猫の写真を掲載してよいかといわれたので(ふらんす堂にはわが家の猫の写真が何枚か飾られているらしい。どうやら山岡さん好みの猫なのだ)OKと答えたが、私は山岡さんから俳句を頼まれたことがないから、私より猫の方がふらんす堂では人気があるらしい。

届いた本を見ると、猫の写真と、古今の名句・募集された猫の句が石田郷子さんの選で載っているなかに、こんな作品があった。

桜散り片づけられぬ猫の砂 北川美美

編集長もなかなか活躍しているようである。編集長の隣の句は

眠りつつ仔猫戯(じゃ)らしの尻尾かな 板屋ちさと

とあるが、これはあの伝説の夭折俳人長岡裕一郎氏の妹さんだ。俳句を始められたものらしい。さらに、頁を繰ってゆくと、

 秋風を見てゐる猫を見てゐるよ 西村麒麟


とあったので問い詰めてみると、さらに西村家の猫の写真も載っているという。御馴染みの人の作品を見るだけでも楽しい。





ガッチャン!キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!
ふらんす堂編集日記より




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