2013年3月29日金曜日

平成二十五年 春興帖 第四

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   矢野玲奈 (「玉藻」同人・「天為」同人)
我が家にも燕来る頃かもしれぬ
きつぱりと風の中ゆくつばくらめ
初燕すべての道が青信号


   佐川盟子
旧道の廃道となる春の雨
永き日を君錆びるなよ銀に塗れ
散らばつて花は銀河となりにけり

         

   下坂速穂(「屋根」「クンツァイト」)
出掛けたる心の澄みて余寒かな
月光に蕾さしむけ春寒し
くちびるに甘き雨来し入学子


   依光正樹(「クンツァイト」主宰、「屋根」会員)
土に手を当てて感謝や豆の花
足許の水仙を見て空を見ず
竹秋のふたりのことはそのままに
草餅を買へば遣りたき人多し
その鳥を鳥馬と呼べば花の冷え


   音羽紅子(「童子」会員)
やかんより湯気のぼおおと春愁
だんだんと人あらはれて春夕
春障子なにやら語気の荒々し







  

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