2013年1月4日金曜日

平成二十五年歳旦帖 第一

 
 
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  池田澄子(句集『たましいの話』『拝復』他。「豈・船団・面」所属。)

車線変更して新年に入りにけり

太箸の夕べは夜になりたがる

久し振りとは()け合つて牡蠣雑炊

 

   藤田踏青(「豈」同人)

見つめ尽くせば巳詰め尽くした自画像となる

逢引の冬の花火と金魚鉢

山は静かに河は激しく受胎する

 

   しなだしん(「青山」)

元旦へぶらさげてある束子かな

神のみな目の垂れてゐる宝船

火の中に炎くづれて雪になる

 

   岡村知昭(一九七三年生まれ、「豈」「蛮」「狼」所属)

空腹の僧の饒舌おおみそか

はにかみへあくびで応え鏡餅

セーターを脱いでしまわぬ射的かな

 

   中西夕紀(「都市」主宰)

門松や今は昔の江戸見坂

初空のいづこへ急ぐ伝書鳩

腰掛けてわが足浮けり初山河

 

   池田瑠那(「澤」同人。俳人協会会員。)

去年今年すばる輝き増しにけり

水巡る地球のけふの初手水

書初の春の払ひの勢【きおい】かな

 

   野口る理

のど飴の光宿せる御慶かな

妹の伊勢海老を組み立ててゐる

嫌はれず好かれず舌を出し新年

 

   大井恒行(一九四八年山口県生まれ。句集に『風の銀漢』、著書に『教室でみんなと読みたい俳句85』など。)

歳旦の箸置き幾つ窓秋忌

白き蛇みずうみ渡る幻氷期

非常停止ボタン四度使われ年の暮

 

   西村麒麟

お雑煮を食べて雑煮を食べにけり

拉麺を欲すれどまだ雑煮あり

お雑煮はそのうち飽きるさう言へず

本当に雑煮の餅は一つで良い

大好きとまでは行かざるお雑煮よ

 

   筑紫磐井(「豈」・俳人協会評議員)

       西村麒麟の向こうを張って五句

定年の龍が蛇にと改りぬ

晩年に一寸先の影法師

網の上で笑止と餅がころがるよ

シンプルなライフを嘉しとお正月

幸うすき女と(うつ)る年賀状

 

仲 寒蝉(「港」「里」)

つくづくと垢見つめをる初湯かな

読初の栞に古き宝くじ

初山河静止衛星から画像

若冲の象となりたる福笑

死刑ある国に生まれて雑煮餅



北川美美(「豈」「面」)

元朝の庭にさしこむ志

鏡文字映して読まん年賀状

渋滞の橋ゆれつづく二日かな

1 件のコメント:

  1. 野口る理さん、西村麒麟さんの所属表記を訂正いたしました。今更の訂正で誠に大変申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。深く反省しております。(管理人)

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